上山院長ブログ
2021.11.25
貧血の放置は禁物!
形成外科の術前検査で、引っかかる頻度が多い疾患が“貧血”です。
貧血は創治癒には勿論の事、全身へ悪影響を及ぼします。
過度の貧血の時には、改善させてからの手術になります。
1980 年代の調査でも既に、 日本女性の何と56.4%が貧血を指摘され、そのうち 55.9%が鉄欠乏性貧血でした。
今は更に増加しているのではと危惧されています。
健康診断では基本的にHb(血色素)だけを確認しますが、実際には鉄やフェリチン(貯蔵鉄)まで測定しないと鉄欠乏性貧血かどうかは分からないため、見過ごされている事も多いようです。
術前検査では MCV(平均赤血球容積),MCH(平均赤血球容積)もチェックしており、疑わしい人は精査をすすめ確認します。
Hbが12g/dl以上という正常値でありながら、フェリチン(5ng/ml 未満)が計測できないほど低値という方が意外と多くて驚きました。
貧血を以前指摘されていたけれど、気になる自覚症状がなく、途中離脱されたという方も多いようなのですが、継続的にみてみるとなかなか改善していないようです。
恐らく生活習慣そのものが変わっていないので、 鉄剤を内服しなくなると自ずと低下してしまうのでしょう。
自覚症状がないからと放置されるのは、美と健康面においてお勧めできません。
急速進行の貧血ではめまいやふらつき感等の症状を自覚できますが、ゆっくりすすむと、不調が日常的になっているのでなかなか自覚できなかったりするのです。
改善してきてようやく不調だったことを自覚できるようになったりします。
症状がないからと甘く見ている方、慢性疲労、精神不安定、肌荒れ、不妊、妊娠・出産後トラブル、創治癒遅等々、悪影響は多岐に渡りますので、問題が大きくなる前に対処して欲しいものです。
貧血などの慢性疾患は自分で作っているものも多いのです。
ご自身が今の状態を変える努力をしない限り、進行する一方ですので、今一度見直して頂ければと思います。
ただし、貧血の原因として鉄欠乏性貧血だけではなく、産婦人科系や胃、十二指腸潰瘍などの消化器系の病気が原因であることもあり、疑わしい場合はそれぞれ専門科での精査が必要です。